11月ゼミ総括

投稿者: Asae 投稿日時: 2016-11-30 15:35:18

中間発表を越えて、通常のゼミ発表が再スタート。
ここからどのくらい馬力を出して進められるかが、最後の出来を左右する。
今年は全員勢いがあり、調査あり、データあり、模型ありで内容充実。最後が期待できそう。

ゼミの発表は、なんと来月がもう最後。卒業研究の1年は早い。
次回は、いままで溜めたデータを見直し、論文全体を再構築することが課題。
今ある素材から何がわかるのか。それを最大限活かすにはどのように使うのか。
どんな順番で論じればわかりやすいのか。
それを一から見直してみること。

ゼミでは、OGの平野お姉様が参加。あいかわらず鋭い意見をありがとう。
終了後は、シェフ斎藤&服部によるカレーパーティ。おいしかった!!
以下、番号順で講評。

〈服部〉旧小学校校舎の転用事例264件にアンケート調査を実施。回答率40%超。今回は建築年代や利用時期、構造など基礎データの整理と、旧校舎として残したい魅力を軸に改造等を分析。最終的に「歴史的建造物」としての小学校舎の保存活用の方針(推奨する活用・改造)を示すには、活用方法ごとの保存への意識や改造の相違が注目できそう。落としどころを見失わないよう進めること。

〈林〉大手門の根本的な用途・性格を再考するため、城の縄張上の配置に注目。これが有効で、「城の防御」から「町に対する顔」への変化と、意匠との関係が明確になった。これは目から鱗の新発見!これをオチにするためには、論文全体の再構成と、意匠規範の存在が指摘されている天守の年代軸を入れた比較が必要。流れを大事にして、構成を考えること。結論近し。

〈石橋〉戦前の日本人建築家の海外渡航について、国ごとの具体的な視察内容を分析。今回はドイツ。データ収集・整理が丁寧で、緻密な論旨。ドイツでは様式建築について記載がほとんど無いものの、1920年代から日本人が主要な建築作品を新築直後に訪れ、1930年以降雑誌での報告が急増していて、ドイツ建築界の動きが日本に直結していたことがよくわかる。アメリカについても同様に整理し、比較することで、各国に対する評価をまとめたい。

〈木村〉松本城下町の現地調査を実施。地図や史料でみるのと、実際の町を体験するのは全く違い、通りごとの個性がわかって面白い。「性格」と「町並み」の個性の年代変化を分析するには、創業年や建築年、堀の埋立や火災などの事象を年代軸上で整理しなければならず、また古写真など過去の町並みと現状の比較にも年代論が必要。多種の情報をどう整理し、ビジュアルにみせるのか、方法を工夫すること。

〈野田〉これまで集めたデータをもとに、室内装飾業者を前身業種や創業時期、顧客層で類型化。従来一緒に扱われてきた三越や高島屋も、実は別種の類型になる点が面白く、日本での室内装飾業の独自性もよくわかる。が、まだ整理が途中で、面白さが伝わりにくい。この類型を軸にして室内装飾業の成立・変容を論じるには、どのデータを何に使うか、目的を見据えて大胆に再編してみること。この料理がうまくできれば、抜群に良い論文になる。

〈斎藤〉歴史的建造物の保存制度について、これまでの制度別の調査を踏まえ、一自治体内での複数制度の使い分けの実態を分析。今回は最も充実している横浜市が対象。景観行政では復元建造物や重点地域の設定など特徴があり、また複数制度の重複による補完もありうる。実態報告だけでは論文として弱いので、他の自治体とも比較することで、制度の弱点と運用の課題を指摘できるよう考える。

〈宮内〉旧村田邸の実施設計・施工を担当した大林組住宅部の沿革と作品を整理。史料的な制限のある中、よく整理されている。ただ、その特徴がスパニッシュだけなのはもったいないし、インテリアも重要。また、基本設計の志村太七の作風が反映しているかも確認が必要。その裏付を、図面と雑誌掲載作品、実態から分析するのが今後の課題。

〈丸山〉善光寺地震に、1854年の安政東海地震と1960年代の松代群発地震の被害をプラス。地震の概要、被害の指標、分布の考察など説明が丁寧で、さすがの発表。被害の強弱だけではなく、建物種別での被害差による地盤の推測など、歴史地震の分析としては最大級の成果。だから、危機意識の分析はもう捨てて、被害考察と論文構成の再考に時間をかけて、完成度を高めた方がいい。タイトルも含めてよく考えること。完成近し。

〈増澤〉中間後に、伊勢神宮古殿の撤下事例を三重県内を中心に調査。現地でしか知り得ない伊勢と同様の60〜80年周期の転用システムや、時代による撤下の変化がよくわかった。その内容を丁寧に整理していて説得力がある。詳細事例は三重県のみだけど、近世から続く事例だからこそ長いスパンでの変化と背景がわかる。他の事例も見直して、撤下の変化と画期の案を示し、その背景を伊勢側と社会情勢から考察すればもう結論!詰めを丁寧に。

〈杉崎〉厚木市内の農村舞台の調査が全て終了。あとはこのデータによって、舞台の特徴が論じられればOK。舞台の平面や機構についてはよく整理できたが、配置は神社との関係について再考が必要。また、その相違は芸能の相違も推測でき、規模や構造とも連動するはず。しかも年代による変化も論じなければならない。今は1要素ごとの考察だけど、その複合的な関係をみることで、地域性がきっとわかると思う。

〈二階堂〉朝倉彫塑館の朝倉文夫による初期設計案の模型を作成。不完全な図面なのによく作った!この模型が魅力的で、現状と比較することで、朝倉の考えがどこに現れているかを論じている。指摘は詳細かつ具体的で良いのだけど、連動する内容もあるから整理が必要。また、どうしても建替え前の前身建物との関係が伝わりにくいので、現状から遡る形で構成を見直してみよう。

〈小崎〉レーモンド設計事務所によるグリーンハウスの改修案をヒアリング。この改修が「クラブハウス」としての価値を尊重するものか検証するためには、これまでの蓄積からクラブハウス建築の成立過程と画期を整理し、グリーンハウスの位置づけを行わなければならない。その整理が甘い。平面・配置・機能の各項目だけではなく、その連動による特徴を抽出し、小崎らしいクラブハウス論を早急に示す。急がないと間に合わないぞ!


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